ブログ 不法滞在者の割合などに思う事

名古屋市港区で行政書士&カウンセラーの佐々木(ささき)です。主要業務は、外国人に関する出入国在留管理庁(入管)への申請・相談です。行政機関への許認可申請、相続、契約に関するご相談も受けております。

 

最近、難民申請中(特定活動)のビザの更新、(日本人配偶者、経営・管理等への)資格変更の相談、依頼はほとんどなくなっている。経済難民に対して、入管の厳しい措置が影響しているのは間違いないだろう。以前は、半年更新を5回ぐらい更新することができた。もちろん審査中であるということが前提となっている。

さて、新型コロナウイルス感染予防の件もあり、政府より給付金10万円が支給されることになった。

外国人(一定の要件有)、生活保護受給者にも支給されることになっている。

外国人は短期滞在者や不法滞在者には給付されない。当たり前と言えば、それまでであるが、不法滞在者は微妙な面はあると思うが、今回はその点に関しては割愛する。

その不法滞在者の内訳に関しては注意しておくべき点があると思う。

令和2年1月時点での法務省の資料によると、日本に滞在する中長期の外国人は256万人超となっている。

不法滞在者数は、過去最高の約8万3千人である。3.3%にあたる外国人が不法残留者となっている。

中身を見ていくと、6割超が短期滞在者である。4割弱が中長期滞在者である。

そのうちの4割の12,427人が技能実習生である。次いで、留学生の5,543人約18%で、この2つで、半数を超え6割弱となっている。技能実習生の内、20人1人の5%が不法在留者となっているのは大きな問題と感じる。

留学生に関しては、日本語教育機関が多くを占めている。

技能実習生も留学生も、日本において勉強・技術を身に付ける等が主の活動であることは言うまでもないのだが、実態は就労に近い面も多い。技能実習生は、帰国後、技能移転をする必要があるのだが、実際行っているかは不明である。(データを見つけることができないが)技能実習生の技人国での認定資格がこの技術移転されていないことによるとして不交付になっている。

留学生が資格外活動として、アルバイトを行っていること自体は悪いことではなく、寧ろ、社会勉強の面からも多くのことを得ることができると思う。

問題になるのは、そもそも勉強しに来たのではなく、アルバイト(金儲け)を目的にしている場合である。技能実習生も同様の問題があり、そこには手引きするブローカーの存在がある。もちろん、仲介者としての役割を果たしている業者も多いが、一方で、こちらも金儲けだけで無責任極まりない業者がいる。一般的にはこちらを(悪徳)ブローカーと呼んでいると思う。ここで、恐ろしいのは、この悪徳ブローカーが悪徳であることに気付いていない点である。

昨今、新たな特定活どの資格が増設されるなどもあり、留学生の卒業後に就労する機会は増えているのは確かであるが、専門学校生、日本語学校生の卒業生は就労の機会は増えているわけではないし、美容師の専門学校生などは美容師として就労するビザ(在留資格)は存在しないのが現状であるし、ビジネス専門もかなり狭き門である。それなのに、ブローカーはその点を説明しないか、ごくわずかに許可が出ることを拡大解釈の上、可能性があるという点で就労できると言っている可能性が高い。うそ、騙しとまでは言えないが、就労可能性が半数に至らない場合はその旨を説明する必要があると思うというより、どれぐらいの確率で就労できるかは実績を踏まえて周知を徹底すべきだと考える。この辺りは、よくある契約書の極小の文字のような感じで済ましているのだろう。悪意すら感じてしまうのは私だけだろうか。

不利益をこうむるのは、退去強制させられる外国人か善良な受け入れ企業なのである。

私自身は、こういう関係者とのお付き合いをしない、申請等を引き受けないなどの対応をしており、被害を受けた外国人には無償で相談にのるなどしているが、同業者の中には、事務所に来所させ10分程度の相談に5000~6000円の相談料を取り、ネットでも仕入れられる情報を提供し、その後の申請(許可をとるなど大変である)は、別の事務所でという行政書士もいる。

そういう行政書士がいるので、私のような小さい事務所がやっていけるとも言えるのだが、やっていけなくてもいいので、先のような劣悪な対応をする行政書士事務所がなくなることを望んでいる。

不法在留外国人に関する統計資料は下記の法務所のHPに記載されており、また、大学の教授によるレポートも数多く作成され、発表されているので、気になる方は調べてみてはいかがだろう。

本邦における不法残留者数について(令和2年1月1日現在)